空調システムシミュレーションと運用最適化を強化【竹中工務店様】
要約
竹中工務店は、日本有数の総合建設会社であり、建築、エンジニアリング、コンサルティングサービスを提供しています。同社の技術研究所は、ZEB（ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング）を支援する建物設計と制御の最適化に専念しています。設計段階と運用段階の両方でHVACシステムの性能最適化という課題に直面したため、モデロンと提携し、システムシミュレーションを活用することで、EnergyPlusとの連成解析を実現し、より正確な制御ロジックのチューニングを可能にしました。
はじめに
田中 規敏氏（竹中工務店 研究開発研究所 首席研究員）と彼のチームは、ZEBプロジェクトにおけるエネルギー節約と居住者の快適性を実現するための先進的な空調システムの開発の最前線に立っています。しかし、エネルギー効率の高いプロトタイプ設計であっても、設備の設定や運転条件の相違により、設計意図と実際の性能の間にギャップが生じることが多いです。このギャップを埋める必要性を認識した竹中工務店様は、設計最適化と継続的な運転改善を可能にするため、システムシミュレーションをワークフローに統合する取り組みを開始しました。
課題
設計段階の設定と実際の運転条件の相違は、しばしば予想を超えるエネルギー消費を引き起こすため、竹中工務店様は実際の運転データに基づいて空調制御論理（空気流量や温度設定など）を微調整することが不可欠でした。これには、建物環境を高い精度でモデル化し、HVACの動的挙動を捕捉し、建物エネルギーシミュレーションプラットフォームであるEnergyPlus（エネルギー消費量と水使用量をモデル化するツール）とシームレスに統合できるシステムシミュレーションツールが必要でした。これにより、連成解析アプローチを実現しました。
解決策
竹中工務店様は、Modelica言語に基づく物理ベースのモデリング、堅牢なHVAC専用ライブラリ、およびクラウドベースのスケーラビリティが決め手となり、Modelon Impactを選択しました。モデロンのチームは、竹中工務店様が単層HVACシステムのシミュレーションモデルを構築するのを支援し、制御ロジックのテストと設定の最適化を可能にしました。Modelon Impactの直感的なユーザーインターフェースと分かりやすいドキュメントにより、チームは学習をスムーズに進めることができ、Modelica Buildings Libraryを用いた連成シミュレーションにも初めてスムーズに取り組むことができました。
主な機能には以下のものが含まれます:
- EnergyPlusとの連成シミュレーションにより、建物の熱ゾーンの正確なモデリングを実現
- 直感的なドラッグ＆ドロップ インターフェースによるシステム構成の可視化
- モデロンのエキスパートによる専門的な指導で、モデル構築の効率化と問題解決を支援
「広範なライブラリに加え、Modelon Impactはシステム構成を視覚化しやすい直感的なユーザーインターフェースを備えており、各コンポーネントごとに容易にアクセス可能なドキュメントが用意されていました。これにより、私たちはモデルを最初からスムーズに扱うことができました」と田中氏は述べています。
結果
この協業を通じて、竹中工務店様は建物エネルギープラントを含むHVACシステムモデルを構築し、EnergyPlusとの連成解析の実現可能性を検証しました。これにより、チームは最適な設備設定と制御ロジックを定義することができ、運用時のエネルギー性能向上に向けた道筋を確立しました。このプロジェクトは、竹中工務店様の社内シミュレーション能力を強化し、将来的により大規模なシミュレーションプロジェクトに取り組むための基盤を築きました。プロジェクトの次のステップには、中規模から大規模な建物のモデル化と、これらのモデルを運用データで検証することが含まれます。
竹中工務店様のモデロンとの契約は、ZEB HVACシステムにおける設計と運用間のギャップを埋めるための最初の成功したステップとなりました。標準的なオフィスフロアのモデル化を通じて、竹中工務店様はHVAC制御論理の最適化と、より大規模な現実の建物へのアプローチの拡張のための基盤を確立したと言えるでしょう。竹中工務店様の、エネルギー効率に優れた快適なZEBの実現に向けた先進的な取り組みに対し、モデロンの技術と専門的な支援をご活用いただき、心より感謝申し上げます。
